1点を争うテストで発音を無視してもよいか。
こんにちは。
TOEFL専門、留学のための しけんや英語塾のブログになります。
こんなツイートをしました。
多数の大人のTOEFL受講生は、ほとんど英語ができていて、最後に発音というピースを埋めて英語というジグソーパズルが完成するという感じ。ただそのピースをうんにゃっ!と強引に入れたりして、他のピースが弾けて飛んでいくこともあったり。
— Shinobu@しけんや英語塾 (@shinobee_) 2020年8月25日
綺麗な、麗しい、聞き惚れるような発音じゃなくて、聞く方が必死にならなくてもわかる程度の発音ね。ここが目標。作家レベルの英語を書くのじゃなくて、解読しなくてもわかる英語を書くのが目標であるように。#TOEFL
— Shinobu@しけんや英語塾 (@shinobee_) 2020年8月25日
やはり、大人のTOEFL受験生は、多くの場合、日本で受験のために英語を勉強してきて(わたしも同じでした)、それである日、留学の機会がめぐってきた、というパターンでしょうから、発音にはそれほど気を使ってきていない、というのは、当然のことです(だから、ある意味、日本の教育のせいにしてかまいませんw)。
ただ、TOEFLでは、その25%を、Speaking sectionが占めているわけで、Readingと同じだけの対策をすることになりまして、そのSpeakingでは、「口頭で、伝える」ことが当然、唯一の目標になるわけで、そのためには、発音を避けて通ることはできない、ということなんですね。
で、この時点で、多くの受験生は、生まれて初めて、英語の発音、という壁にぶつかる、というわけです。
発音といっても、ひとつひとつの母音とか子音という音素の出し方はあまり重要ではありません。
要するに、英語として聞きやすいかどうか、の1点に、問題は収れんします。
このしゃ かいで は じゅう が とてもた いせつ
と言う、外国人の日本語を聞いたときに、わたしたちは、ちょっとしんどくなります。いちいち「努力」をしないと聞けないからです。
このlistener effortの程度が、TOEFL でもSpeakingのスコアを左右します。だから、相手に努力を要求しないような話し方、発音、を意識するのが重要ですね。
上の日本語では、なんとか意味が通じたとしても、この「しゃかい」は、おそらくアメリカのことではないか、と推測してしまうことでしょう。だって、銃が大切って!ということだから。
でも、この外国人が、もし、じゅう、ではなくて、じゆう(自由)だと思って、ことばを発していたら・・・なんて、ネイティブのわたしたちには、想像できないでしょうね。
そんなことが英語でのコミュニケーションでも起こっているわけです。TOEFLという、一瞬のコミュニケーションですら。
よし、じゃあ、発音を意識しておかねば!
ということになるのですが、文法、語彙、聞き取り、作文、などと比べて、発音は、ある意味特殊なんです。そして、ここが、発音向上の最も大きなネックになりそうなんですね。
たとえば、新しい単語を知る、としましょう。あーはいはい、それは肺炎という意味なんですね、はいはい。がんばって覚えますよ、と。
新しい語法を知る、としましょう。あーはいはい、preventの後ろには、ヒトが来て、次にfromが来て、ingがくるわけですね、はいはい。がんばって( )の穴埋めができるようにしますよ、と。
これを積み重ねていくのですが、発音は、実は、英語に初めて接したDay 1から、ずーっと今まで引きずってきているんですね。
the
なんて、これまで何千回、発しましたか。
they
this
that
これら、を今まで発するときに、thの音をしっかり出してきたでしょうか。thの音が出ていなくて、日本語の「ザ行」で置き換えたときに、何回注意されたでしょうか。
されてないんですよ。He plays the guitar.で、sを忘れたらボロカスに注意されて、gitar って書いたら、むっちゃ大きくバツされて、100回書いてこい!とか言われるのに、
the を [ザ] と言っても、誰もなんにも言わないんです。
I like sports. I like soccer, baseball, and basketball. のイントネーションも、「イントネーション」の概念がないまま、ずーっとやってきた。
Would you like tea or coffee?に、2種類のイントネーションがあって、それぞれ別の意味になることなんか、考える余地もなかった。「イントネーション」の概念がないから。
これがね、なんなら日本人として生まれてこのかた(大人のTOEFL受験生なら、30年ほど)ずーっとこういう環境にいるわけです。こういう意識が蓄積しているわけです。
だから、新しく単語を覚える、というのとは、わけが違うんですね。「矯正」となりますが、これには相当の時間がかかるんです。(歯の矯正をしたことのある人は、どれだけ時間のかかることか、おわかりでしょう。)
だからね、せめて、イントネーションだけでも、普段聞いている英語(TOEFLのlisteningでかまいません。TED Edならなおよいでしょう)を、よーく観察(聴く)して、自分の英語とは何が違うのか、に一つでも気づき、それをマネしていく、という意識が大切なんですね。
マネ
です。それは口先だけ(唇の開き加減や舌の位置など)ではありません。声の質やら、息使いなど、いろんなことに気づくことが大切です。
じーっと観察するだけでは真似できない!という人も多いでしょう。本から学ぶほうがやりやすい(だって、文法だってそのように学んできたのだから)受験生もいらっしゃいます。
こちらの本を紹介します。こういうことに気を付けて英語を発するのだ、ということがよくわかると思います。英語自体は簡単なので、わかりやすいと思いますが、これを意識して、TOEFLのSpeakingに応用する、という練習が必要になりますね。
さて、最後に確認させてください。
学習者の発達段階によって、どのへんのレベルでの意識改革が必要になるか、わかりませんが、美しい発音にする必要はありません。ただ、相手に努力を要求しない英語であること、これって、英語の能力というよりは、会話のエチケットに近いレベルなのではないかと思うんですね。
就職の面接にドレスを着て臨む必要はありません。けれど、あまりに普段着過ぎるのも、「この人、もう少し見た目を気にしてもいいんじゃないかなー」という印象を与えるでしょう。英語の発音は、そういうレベルのことなんです。そもそも立派な意見を持っていたり、表現力も備わっているのだから、もう少しだけ、聞き取りやすい英語になれば、もっと印象がよくなる、ひいてはもっとスコアが上がる、と思うんですね。
発音がすべてなんてことはありません。
けれど、TOEFLという、人生で得てきた英語の知識・技術を30点という幅で評価するようなテストで1点単位で勝負しているときに、もしかしたらそのせいで1点を失っているかもしれない、という可能性があるのに、無視したまま、準備を続けるというのは、必ずしも、得策とは言えない気がするんですね。
以上のようなことを、動画でお話ししました。